SAYEGUSA online shop

articles

2018.08.30

[インタビュー] 幅允孝さん〜SAYEGUSAの中の小さな書店 grow with BOOKS。

ー ブックディレクター幅允孝さん

SAYEGUSAのお店の中の小さな書店「grow with BOOKS」。一度は子どもたちに読んでほしい本、手に触れてほしい本をご紹介。年に2回のペースで入れ替わります。その中には他の本屋さんではなかなか出会う事の出来ない本も。選書を担当するブックディレクターの幅允孝さんに、このプロジェクトに込めた思いをインタビューしました。

子どもにとって、本はどんな存在だろう。本はいつだって、誰にでも身近で平等。そして人生にたくさんの気づきや豊かな彩りを与えてくれるもの。ページをめくる発見、紙の手触りや香りが、大人になっても記憶の片隅に残っていたりもします。その一方で、本を手に取る子どもが減り、絵本から児童文学へと読み進められない子が増えている、という話題も耳にする今の時代。だからこそSAYEGUSAは、改めて子どもと本の関係について考えてみたいのです。

 

幅さんが、今、本を通して子どもたちに伝えたいメッセージとは。

「子どもの吸収力って、砂漠みたい。考え方や成功例を知っている大人と比べると、その好奇心は目を見張るものがありますよね。小さいときにこそ、本のおもしろさや本質的なものに出会うことはとても大切だと思うんです」

そう語るブックディレクターの幅允孝さん。今回、grow with BOOKSの選書のパートナーとなったのは、幅さんにとって、いたって自然な流れだったのだそう。

「本とともに子どもが育つということへのメッセージを大切にしたい。それが最初にお聞きした grow with BOOKS の大きなコンセプトでした。ただ売るだけではなく、本にどんな想いを込めて魅力を次の世代へと伝えていくか。それは僕たちBACHでも考えていることで、SAYEGUSAの想いと重なっていたんですよね。時間を積み重ねてきたからこそある、“ 王道 ”ともいうべきSAYEGUSAのスタイル。それって遅効の道具である本を、子どもに伝えるための必要な根幹だと思うんです」

 

本物にこだわり、本というメディアだからこそ伝わるものを伝えてきたい。インターネットや動画サイが当たり前のこの時代、子どもにとっての本の大切さを、幅さんはどう考えているのでしょうか。

「デジタルも紙も、どちらにもよさがある。大切なのはメディアの特性の違いに自覚的であるということだと思っています。実際に手に取って見たときに感じる重さや、写真やデザインの迫力。 それはモニターを通してブラウザ上で見るものとは、まったく違いますよね。紙メディアは五 感を総 動員して感じられるもの。そして、WEB メディアには常にアップデートできる便利さはあるけれど、紙メディアは書き直しがきかないから、絵にしても文章にしても、よく推敲がなされている。助詞ひとつとっても考え 抜かれて作られているんです。視覚至上主義なこの時代、文章を読み、頭の中で広がるイメージが動 画以上に豊かなこともあると知ってほしいのです」

 

今回幅さんは、grow with BOOKSのために、「美しいこと」「しぜん」「毎日のこと」 という3つのテーマを提案。

「子どもは子ども扱いされるのが嫌いだし、絵本によくある対象年齢にとらわれすぎるのももったいないと思います。今回は、大人も含めて楽しめる善き本を提案していきたいと思っています」

そのセレクトには海外の写真集もあれば、何十年も愛され続けている日本の絵本もあり、とにかく私たちの想像を超える、バリエーション豊かなラインナップ。

「 同じジャンルでも 、最先端とクラシックス、大人と子ども……。そんな両端にあるものが平然と並んでいるのって SAYEGUSAらしいと思うんです。現在・未来と楽しめるように、ぜひ組み合わせてプレゼントしてほしいですね 。今は理 解できないものがあっても、20年後に善きものだと気づくものでもいい」

 

最後に幅さんが、本を楽しく読むためのアドバイスを教えてくれました。

「本は、食べ物みたいに接すればいいといつも思っています。胃の調子が悪いのに肉を食べても美味しくないように、自分の心の調子になんだろうと合わせて選んで、無理なく読むのがいい。長くて途中で本を読むのをやめてしまっても”負けた”なんて思わなくていいんです。

たくさん読んだから偉いわけでもないし、能力や感性を伸ばす“目的”のために読むものでもありません。 ただただ読んで、いつかじわじわと自分のものにな っていくもの。未来の自分への種まき的行為として、 楽しみながら本を読むことが、長くすこやかに本とつきあう方法なんじゃないかなと思います」

 

2017年10月からはじまった「 grow with BOOKS」 。SAYEGUSAで見つけた一冊の本が、子どもたちの未来の新しい扉を開くきっかけになってくれるかもしれません。一人ひとりゆっくりと確実に、記憶に残る「一生の宝物」に出会うことを信じて。 完


grow with BOOKS

年間75,000冊以上発行されるという本の中から、ブックディレクター幅允孝さん(BACH)が選書する、SAYEGUSAの中の小さな書店。「美しいこと」「しぜん」「まいにちのこと」という3テーマにそって、子どもたちへ贈りたい約30冊の本を提案しています(内容は年に2回のペースで入れ替わります)。また、本に関連したイベントも企画していきます。