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2019.01.30

対談 Green Dialogue vol.9

環境保全、環境教育などを通して社会貢献に取り組むさまざまなスペシャリストに、弊社代表の三枝 亮が話を伺う「Green Dialogue」。第9回のゲストは、中学1年生でありながら児童労働の現状を知ってもらうための啓発活動を行う武田智生さん(13)です。武田さんは、湘南学園中学校の1年生。社会科の授業で、アフリカで起きている児童労働の現状を知り、学内の友人に声をかけて任意団体「チョコプロ」を立ち上げました。メンバー数は約30人。昨年の学園祭では教室一室を借りて、ポスターなどを展示して、啓発活動を行いました。今は、学内でフェアトレードチョコレートにまつわるドキュメンタリー映画の上映会やフェアトレードチョコレートの販売などを計画中です。
湘南学園中学校1年 武田智生さん 

子ども10人に1人が児童労働

――武田さんは「チョコプロ」を仲間と立ち上げましたが、どのような活動をしているかお聞かせくださいますか。

武田さん:児童労働について知ってもらおうと、学園祭(2018年9月)で啓発活動を行いました。教室を一部屋借りて、ポスターを展示しました。

今後は、全校生徒から不要な筆記用具を集めて、NGOなどを通して、現地の子どもたちに送るプロジェクトや、2月14日のバレンタインデーに向けて、校内でフェアトレードチョコレートに関するドキュメンタリー映画の上映会とフェアトレードチョコレートの販売を行いたいと思っています。そのための資金をクラウドファンディングで集めようと考えています。

 

チョコプロを立ち上げた武田さん。団体の運営については、認定NPO法人ACEから助言を受けながら進めている

「わたしたちがいつも食べているチョコレートの原料であるカカオを子どもたちがつくっているなんて…わたしたちにとっては衝撃でした。・・・」

武田さんたち「チョコプロ」の活動を応援するためのクラウドファンディングはこちらから。

https://scholarshipyard.com/shonan-gakuen/project/detail/25/

チョコプロメンバー。「チョコレートで子どもたちを救いたい。」

――クラウドファンディング!ぜひ応援させてください。まだ13歳なのに精力的に活動しているのですね。素晴らしい。活動を始めた動機について教えてもらえますか。

武田さん:団体を立ち上げたのは、社会科の授業でアフリカのガーナで起きている児童労働の現状について知ったことがきっかけです。現在、児童労働をしている子どもの数は1億5200万人(国際労働機関2017年)に及び、子どもの人口の10人に1人に当たります。

ぼくらより小さい子どもが学校にも通わせてもらえずに、毎日過酷な労働を強いられていることに衝撃を受けました。幼い頃から労働を強制されているので、大人になっても読み書きができず、将来就ける仕事も限られてしまいます。

児童労働が起きる背景に関心を持ち、ドキュメンタリー映画や記事を見つけて友人に教えたりしていくうちに、社会科の先生から「この問題についてもっと大勢に知ってもらう取り組みをしてみないか」と打診を受けました。そうして、活動を始めたのです。

先生たちからは「社会に貢献できる人になれ」という教えを受けています。生徒一人ひとりが興味を持ったことを応援してくれる風土があり、湘南学園としてクラウドファンディングの機能も持っているので、活動を起こしやすいです。

父親・双雲からは「感謝を持ち続けて」

――ファストファッションの分野で激安な商品がありますが、ありえない安さの裏側には「犠牲」があります。児童労働や安価な労働力の搾取ですね。2013年にはバングラデシュの首都ダッカにあった8階建ての商業ビル「ラナ・プラザ」が崩壊するという大惨事が起きました。このビルには、ファストファッションなどの縫製工場が入っていて、この事故で、低賃金で働かされていた労働者が子どもを含め1000人以上亡くなり500名以上が行方不明となりました。低コストで生産量を高めようとするあまりの、ずさんな安全管理体制と人命軽視が引き起こした大事故でした。

 

企業には生産背景を透明化することがより一層求められると強調

――この事故以来、消費者が商品の背景を知ることの重要性がまた認識されだしたので、武田さんの活動は大変意義深いと思います。もちろん私たちも、老舗企業の責任としてこのような社会問題を強く意識しています。

ところで、活動を続けるやりがいはどんなときに感じますか。

 

武田さん:子どもたちの笑顔につながることがうれしいですね。活動に対しては、みんな協力的で、応援してくれています。

――武田さんのお父さんは書道家の武田双雲さんですが、お父さんからは何か言われることはありますか。

武田さん:父からは「周囲への感謝の気持ちは忘れてはいけないよ」といつも言われています。児童労働という難しい問題でも、明るく前向きな姿勢で楽しそうに取り組んでいれば、自然と周りに人が集まってくることを、身をもって体感しました。

――そうですね。共感を得て、人を巻き込むためには、それはとても重要なポイントですね。チョコプロとしては今後、どのようなことをしていきたいと考えていますか。

武田さん:最終的には、ガーナなど児童労働が起きている現地に行ってみたいです。現地に行き、子どもたちの生活や仕事環境、食べているものなどを直接目で見てみたいです。

そして、将来的には環境問題にも取り組みたいと思っています。父から環境問題について日常的に教わりながら育ったので、来年以降は児童労働の問題については後輩に託して、ぼくは地球温暖化や海面上昇についてできることをやっていきたいと思っています。

――環境にも関心があるのですね。ぜひ頑張ってください!

実は、私の会社は今年で創業150周年を迎えるのですが、このタイミングからスタートする新しい取り組みとして1500本の植樹を行うことを決めています。その内1000本はインドネシアに、500本は弊社と縁のある長野県栄村小滝集落に植える予定です。パーム油を摂るアブラヤシのプランテーション開発で熱帯雨林の破壊が劇的に進むインドネシアでは、オランウータンの森を蘇らせる活動に参加します。

http://orangutans.more-trees.org

また、集落の復興と里山継承を目指して、弊社が2014年からお米作りを販売面でサポートしている長野県栄村の小滝集落には、森や小川、里山の人々の生活、受け継がれてきた風習が残る昔ながらの日本の原風景があります。

ここには子ども達の学びの場としていつまでも続いて欲しい、そんな想いで、地元の人々と共に様々な角度からこの場所の未来づくりに取り組んでいます。その一環として、この里山を彩る花木を500本植えようという計画もしています。今も集落を訪れた人の心に潤いを与える小滝ですが、花咲く小滝が実現すれば、もっと魅力ある里山となるでしょう。

実は、尾根には一部ブナ林が残っていますが、小滝周辺は、ほとんどが放置林となってしまった杉林。杉とブナ以外の樹木に恵まれないのが今の小滝周辺です。昔は多様性に富んでいた小滝の森を健全な姿に戻したりする活動も必要なのではと、地元の方達と課題に向き合い始めたところです。

とはいえ、これがドローンで撮影した小滝集落です。とても美しい里山でしょう? ここでは毎年、子どもたちの自然体験プログラム「SAYEGUSA GREEN MAGIC」も開催しています。

日本の原風景が残る長野県栄村小滝集落

武田さん:こんな素敵なところがあるんですね。学校の友人と一緒に行ってみたいです!

――ぜひ一緒に行きましょう!きっと武田くんの活動に繋がる何かが見つかるはずです。

 

【対談御礼と後記】

これからは、企業は利益だけを出していれば何をしても許される時代ではありません。環境や社会に与える影響も意識したブランドでないと生き残れないと思います。

武田さんはまだ13歳ですが、すでに生産背景について関心を持っています。これは特別なことではないと思います。各種調査では日本でも、ミレニアル世代や1995年以降に生まれたZ世代の若者たちは他の世代と比べて社会貢献への意識が高いことが分かっています。

SNSなどが発達したことで、劣悪な労働現場の状況や環境汚染の情報は瞬時に広がるようになりました。人や社会、環境まで配慮したブランドにしないと、これからの社会を担う彼らには支持されないと痛感しました。

武田さんのみずみずしい感性に刺激を受けた対談でした。彼らの将来が本当に楽しみです!


聞き手 三枝 亮 / Ryo Saegusa  株式会社 ギンザのサヱグサ 代表取締役社長。 1967年東京生まれ 。子どもたちの上質なライフスタイルを提案するスペシャリティストアをディレクションする傍ら、都会に住む子どもたちを取り巻く環境の改善に重要性を感じ、2012年「SAYEGUSA GREEN PROJECT」を立上げる。