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2020.03.23

NEW!! 対談 Green Dialogue vol.12 (後編)

環境保全、環境教育などを通して社会貢献に取り組むさまざまなスペシャリストに、弊社代表の三枝 亮が話を伺う「Green Dialogue」。第12回目のゲストは、自然化粧品・自然食品の販売を手掛ける株式会社ニールズヤード レメディーズ社長の梶原建二さんです。美しさに健康と環境を直結させた製品の販売を通して、真に豊かなライフスタイルを推進しています。創業者との出会い、大切にしている「疑わしきは扱わず」の精神や、気候変動に関するセミナーを無償で続ける思いについてお話を聞きました。(撮影:Yoshihiro Miyagawa)
株式会社ニールズヤード レメディーズ社長の梶原建二さん

(前編からの続き)

ーーそういう女性が増えていくと、お子さんが生まれた時によい影響を与えてあげられるのでしょうね。

 

梶原さん:そうですね。子供ができるということは、人にとって転機になります。どんな動物でも、親は本能として、子供には安心で疑わしいものがないもの、なおかつ生き方そのものに良い影響となるものを与えたいと思いますから。

ニールズヤードでは、製品の提供だけでなく、ベビーマッサージのスクールや女性ホルモンのセミナーなど催し物を開催して、女性の一生に寄り添っています。モノを売るだけではないのです。モノよりも大事なのは、自分が健康になりたいと思うかどうかです。そう思わないと、いろいろなモノを与えられても、その人は健康になりません。

日本でもあと10年くらいすると、生活の中に、内面性も踏まえた美と健康を取り入れている女性が美しく、生き方としてもスタイリッシュでかっこいいと堂々といえるような時代になるのではないでしょうか。

 

―― 同感です。大人の行動は子供の価値観に影響を与えます。サヱグサでは「服は子供の感性を育てますので、大人が責任をもって選んであげてください」とお伝えしているんです。

しかし、先ほどお話しに出たように、サステナブルという観点からすると、毎シーズン新作を出さなければならず、生産と消費を繰り返すアパレル業界は、今、その価値を考えなおさなければならない過渡期にあるのかもしれません。創業151年目を迎えるサヱグサとしては、アパレルという領域を超えて、モノよりもコトに重きをおいた、子どもの健全な成長に携わる会社になっていきたいと考えています。次の200年目にむけて、相当なイノベーションが必要だと考えています。弊社は、明治2年に輸入雑貨商としてスタートしました。鎖国が解かれた翌年ですから、その当時ではものすごいイノベーションだったと思います。それに負けないくらいのインパクトを出していかなければと思っています。

 

梶原さん:それはいいですね。一定の市場規模があるから次々にプレーヤーが参入して、その結果、競合が増えて、モノが溢れかえる。マーケットを狙って参入するのではなく、新しいマーケットをつくっていくという思い切った考えを持って変わっていってほしいですね。

経営者は安定思考に陥りがちになりますが、その思考がある限り、新しい価値はつくれません。自分自身でもびっくりするような変化を起こさない限り、会社は変わらないです。

今の時代は、メディアも消費者も、思い切った決断に目がいく。たとえ、製品を買わなくても、そのようなブランドは再発見され、人の記憶に残り続けるでしょう。

対談はニールズヤード レメディーズ表参道本店で行われた

――ありがとうございます。心強いご意見です。

梶原さんは気候変動をテーマにしたセミナーを頻繁に、しかも無償で開いているとお聞きしました。そのような形で環境問題を発信するのはどのような思いからでしょうか。

 

梶原さん:去年の10月、元アメリカ合衆国副大統領のアル・ゴア氏が立ち上げた、The Climate Reality Projectに参加しました。これはゴア氏自らが気候変動について講義するもので、さまざまな分野から抽選で選ばれた約600名の参加者が聴講しました。

私は、そのセミナーが無料だということにも関心がありました。ゴア氏は、14年ほど前に環境問題について訴えたドキュメンタリー映画「不都合な真実」を公開しましたし、たくさんのセミナーも開いてきましたが、出来るだけ多くの人に拡散するということが大事なのだとわかったのでしょう。環境セミナーはお金をもらってするものではないという一つの結論にたどり着いたのだと思います。

だから私も、クライメイト・リアリティ・リーダーとしての活動を、無償で行なっているのです。有償で開くと聴講人数が限られるし、そもそも来た人全員がアクションを起こせる訳ではない。それなら、一人でも多くの人にセミナーを開放したほうがよいと考えています。

 

――梶原さんのセミナーを受けた人の反応はいかがでしょうか。

 

梶原さん:これまでに累計で400人ほどに伝えてきましたが、アンケートをみると、そのほとんどがよく理解して、満足してもらえているようです。正直、こんなに内容が理解されるセミナーは他にないかもしれません。日本人は環境に興味がないと言われていますが、そんなことはありません。今まで誰に聞いたらよいのか分からなかったという回答もたくさんありました。だからアクションができなかったのではないでしょうか。デモを起こさないから興味がないのではなく、表現方法が違うだけなのかもしれません。日本人は真面目なので、やろうと決めたことはきちんとやります。ペットボトルの回収率が、どの国よりも高いのをみても、理解が出来れば真面目に取り組める国民です。実は環境ポテンシャルが高いのです。

私は、日本を環境最先進国にしたいのです。すごくグリーンが増えて、電気自動車が走っていて、街にカフェがあって、きれいで、子供も大人も街や外で遊べて、友好的で、世界中の人が「犯罪も少なく、便利で、なおかつ環境がこんなにいい国は先進国にはない!」と憧れるような。それには、日本の93%を占める中小企業が変わることが大切。中小企業の社長が環境についてリーダーシップをとっていくというのがキーになるかもしれません。

――素敵ですね。幸せの価値観がシフトしていけばなれるかもしれませんよね。それが梶原社長のこれからの夢なのですね。

 

梶原さん:はい。35年経ってみて、健康や環境がビジネスになったから語れる夢です。

自分が健康になろうと思ったことが、幸せにつながり環境もよくしていく。

日本人の持っている真面目なメンタリティに、環境を改善していく知識と行動力が加われば、日本の経済成長を支えることに繋がると思うのです。世界中から、環境を学ばせて欲しいと言われるような国になって欲しいですね。

セミナーの参加者から、よく子供向けにセミナーをしてくださいと言われます。しかし、私は、まずは、親世代に環境問題を伝えて、親から子どもに伝えてほしいという思いを強く持っています。いま起きている環境問題の背景について、例えば「石炭をたくさん使ってしまったからだ」と説明したとします。そうしたら、「石炭を使うことがいけないなら、なぜ今やめないの?」と聞かれますよ。子供は必ず聞きます。そうしたらなんて答えますか。この環境をつくってきた親世代が一人でも多く、冷静に、この危機的な状況をちゃんと理解し行動することが、まずは大事だと思っています。

 

――今日は、大変共感させていただきました。ぜひ、今度、サヱグサのお客様向けにも気候変動セミナーを開いてほしいです。素敵なお話をどうもありがとうございました。

[編集後記]

「日本が発展していくためには、今すでに日本が備えている優れた点、犯罪が少ない、衛生的、優しさ、真面目さなど、その上に何を載せるかではなくて、分母を探さなければなりません。それが環境なのかもしれないですね」と、梶原社長はとても穏やかな語り口で、しかし熱を込めてお話くださいました。

「人間は進化しないが、文明は進化できる」では、どう進化させるか。それは私たちひとりひとりに関わっている問題です。出来ることから、少しずつにでも行動に移し、環境最先進国になるという梶原社長の夢を、一緒に見たいと思っています。


梶原建二/Kenji Kajiwara

NEAL’S YARD REMEDIES 代表取締役社長。1956年生まれ。大学卒業後、上場企業に1年、輸入家具メーカーに1年勤務した後、24歳で世界中からデザイン性に優れた生活雑貨を輸入する会社を起業後、新たにニールズヤードレメディーズだけを輸入販売する会社を設立。85年にニールズヤードレメディーズを日本で販売開始。96年に日本初の直営店を恵比寿にオープンし、翌年ナチュラルセラピーセンターを開設。2003年に完成したエコロジカルな表参道グリーンビルは、2014年9月にニールズヤードグリーンスクエアとしてリニューアルオープン。ショップ、カフェ、スクール、サロンからなるビューティの発信地に。

聞き手 三枝 亮 / Ryo Saegusa  株式会社 ギンザのサヱグサ 代表取締役社長。 1967年東京生まれ 。子どもたちの上質なライフスタイルを提案するスペシャリティストアをディレクションする傍ら、都会に住む子どもたちを取り巻く環境の改善に重要性を感じ、2012年「SAYEGUSA GREEN PROJECT」を立上げる。