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2020.06.02

SAYEGUSA150th × 1500TREES vol.2

150th×1500 trees。150年目を迎えたSAYEGUSAが、子どもたちの未来のために手がける新たなプロジェクトのひとつは植林活動です。
「SAYEGUSA RICE & FUTURE」を展開する長野県栄村小滝集落に、里山を彩る500本の花樹を。
そして「森の人」を意味する絶滅危惧種のオランウータンを育む、インドネシア・カリマンタン島では、森林保全活動を国内外で行う一般社団法人 more trees の協力を得て、熱帯雨林を再生するために1000本の在来種を、数年かけて植えていく予定です。

森との関わり、森への思い

 

大きな木の前に立つと、はるかな地球の営みの中で、木々は木陰をつくり、水を蓄え、大気を満たしながら、私たち人間だけでなく、あらゆる生き物を見守り続けてきたことを思わずにいられません。人間よりも長い歴史を持つ木々が与えてくれるものは、時空を超えた感覚だけではなく、大地の上で助け合って生きる生命と生命の不思議なつながりへの気づきもあるのです。

SAYEGSAが2012年から手がけてきたGREEN PROJECTでは、「豊かな地球を子どもたちへ」というメッセージのもと、里山や大自然の中で子どもたちの五感を開く体験を提供してきました。そして当初からの夢のひとつに、子どもたちの感性を育くむ森を中心とした環境づくりがありました。

 

 

2019年から、創業150年目を迎えた節目の年を起点とするソーシャルアクションとして、そのかねてよりの夢、森づくりの第一歩にとりかかりました。目標は1500本の植林です。

植林活動をする地域は2ヶ所あります。ひとつはSAYEGUSAが子どもたちの里山活動の場所として関わる中で、里山づくりと地元のお米のブランディングのお手伝いをしている長野県栄村の小滝地区。もうひとつはインドネシア・カリマンタン島のオランウータンの森です。1500本のうち、500本は小滝地区に、1000本はインドネシアに植林し、5年後、10年後と木々が育っていく様子を見守る、息の長いプロジェクトとなります。

2019年6月には小滝集落で里山の初夏を彩るヤマツツジの植林を、2020年2月にはカリマンタン島のオランウータンの森に1ヘクタール、400本の植林を行いました。

里山と森との関わりから広がる未来

 

ここ長野県栄村小滝は、ブナ林に囲まれ、清らかな雪解け水が千曲川に沿った河岸段丘の小さな棚田注ぐ日本の原風景が残る美しい小さな集落。

東日本大震災翌日に発生した長野北部地震の震源地として、家屋は全壊3棟、半壊7棟、そして田んぼの7割も被害を受け作付けができなくなるなど、2011年には深刻な集落の存続危機を迎えましたが、ボランティアの力を借り田んぼを復活し、幻の米と言われた「小滝米」の栽培を再開します。そして、「この地で300年続いてきた想いや営みを、さらに300年後に引き継ぐ」という夢を実現するために日々の暮らしを営んでいます。

そんな小滝地区で行われる、SAYEGUSAの里山ツアー。4年目となった昨年の6月には、初夏の里山散策や田植えを体験する2日間のプログラムを行い、その中で、第一回目の植林を行いました。

未来の小滝を花いっぱいの集落にしようと、選んだのはヤマツツジです。これから先、初夏には朱色の花が小滝を飾ってくれるはずです。

今回の植栽は、集落の入り口の傾斜面を選びました。
「それぞれの植物には好きな環境があってね、ヤマツツジは林の下の斜面が好き。ここは雪も多いから斜面だと成長が楽なんだよね」という、長野県林業総合センター指導部の小山泰弘さんの指導を受けながら、13組の親子がクワやスコップを手に頑張りました。

 

 

今年の里山ツアーは新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止となってしまいましたが、5月半ばすぎ、小滝の方から、「きれいに咲きましたよ」と写真が送られてきました。株はまだ小さいですが、過酷な冬を乗り越えて、しっかり根付いてくれたようです。

普段の小滝の5月は雪解けしたばかりで、緑が少なくやや殺風景なのですが、今年は皆さんが一生懸命植えてくださったヤマツツジが青空に映えています。これからの小滝の5月は華やかな季節となることでしょう。

 

 

 

私たちの暮らしに欠かせないパームオイルの原料の栽培などによって
想像を超えたスピードで熱帯雨林が失われています

 

SAYEGUSAが1000本の植林を行う、インドネシア・カリマンタン島の東カリマンタン州サンボジャ地区の森は、現地でオランウータンの保護活動をするBOS財団が、急速な環境破壊で生息地を追われたりしたオランウータンのリハビリを行う森として整備しています。

 

BOS財団は90年代設立の歴史ある動物保護団体です。既存のリハビリ地域が手狭になったため、2000年代初期にこの森を取得しました。当時はまだ乱伐後に放置された荒地でしたが、彼らは活動を続けながら、森の整備を行ってきました。

ところが2015年、天然林として回復しつつあったこの森を火災が襲い、266ヘクタール、実に東京ドーム57個分の面積が焼けてしまったのです(下図)。

このインドネシアでの植林活動をサポートしてくれるのは、2012年にSAYEGUSA GREEN PROJECTを立ち上げたころから交流を重ねてきた、一般社団法人 more trees のみなさんです。
more treesは2016年からこの森を豊かな天然林へと再生させるために、専門家の力も借りながら、植林する樹種を選んだり、支援企業と足並みをそろえながら、プロジェクトに伴走しています。

 

 

実は周囲の熱帯雨林にの被害はさらに深刻です。2015年、前出のサンボジャの森林火災の原因となった農地や、油ヤシのプランテーション開発を目的とした焼畑の延焼では、なんと東京都12つ分にあたる面積の森林が失われたのです。この時の森林火災の煙害はマレーシアやシンガポールまで及び、CO2の排出量はアメリカ合衆国の年間排出量を超えるほどの大災害でした。さらに、2019年には90万ha(東京都4つ分)の森林火災がありました。いつまたこのような事が起きないとも限りません。

more trees事務局長の水谷さんはパームオイルのために多国籍企業が開発するプランテーションと熱帯雨林の問題についてこう言います。

「パームオイルは子どもたちが好きなチョコレート菓子やクッキーに含まれる植物油脂の原料です。また、加工食品や外食産業に使われる揚げ油の多くがパームオイルで賄われています。他にも洗剤など、私たちが日常に何気なく手にしている多くの製品にはパームオイルが使われているのです。油ヤシの畑の乱開発により、絶滅危惧種であるオランウータンの生命が脅かされるだけでなく、熱帯雨林が保ってきた非常に豊かな生物多様性がモノカルチャーになってしまう。そのことを伝えるのも私たちのミッションだと考えています。」

SAYEGUSAの植林エリアを示す看板と、現地スタッフの皆さん

サンボジャ地区の森、オランウータンの保護活動をするBOS財団がオランウータンのリハビリを行う森への1000本の植林。
当初の予定では、親子ツアーなどを開催して皆さんと体験を共有する予定でしたが、新型コロナの感染拡大により叶わず、現地のスタッフに作業をお願いすることとなりました。

今回の植林では、ブッシュ(灌木)を列状に草刈りし、そこに一定の間隔で苗木を植えていく「ラインプランティング」という手法で、1ヘクタール分400本の植林を行いました。
植栽には、カプール、レッドメランティ、アガチス、マホガニー、ドリアンなど、東南アジアの熱帯雨林の高木層を形成する果樹、現地の在来種を選びました。

残りの600本は今回の植林地に隣接するエリアで、来年以降適切な時期に、引き続き植林作業を実施していきます。

 

150年目にスタートしたSAYEGUSAの植林活動。小さな木の芽吹きとそこから生まれるさまざまなつながりを、大勢の子どもたや大人たちとともに見守り、育んでいきたいと思います。

 

illustration_Kanako Okamoto photograph_Yohihiro Miyagawa