<鼎談> 遠藤真理さん&田中泰さん

2022.08.12

<鼎談> 遠藤真理さん&田中泰さん

チェリスト遠藤真理さんとクラッシックソムリエ田中泰さんが語る
「感じる音楽会」の魅力について

11月12日(土)に開催予定の&E PROGRAM「感じる音楽会」のナビゲーター、チェリストの遠藤真理さんとクラッシックソムリエの田中泰さんが今回のゲストです。SAYEGUSAとともに、子どもたちの心に残る音楽体験の場を創造してくださるお二人に、音楽と仲良くなったきっかけ、音楽を「感じる」ことが子どもたちにとってどのように大切なのかなどお話をお伺いしました。プログラムご参加をご検討中の皆さまにも、ぜひ読んでいただきたいお話がたっぷりです。
鼎談は「感じる音楽会」の会場、六本木にひっそりと佇む隠れ家ガーデンハウス(一般には非公開)にて行われました。

Photo : Yoshihiro Miyagawa

遠藤真理(Mari Endo)

神奈川県生まれ。チェリスト。読売日本交響楽団ソロ奏者。
東京藝術大学を首席で卒業。2007年ザルツブルグモーツァルテウム音楽大学マギスター過程を満場一致の最高点で卒業。第72回日本音楽コンクール第1位、2006年「プラハの春」国際コンクール第3位(1位なし)、2008年エンリコ・マイナルディ国際コンクール第2位。2009年齋藤秀雄メモリアル基金賞受賞。大阪フィル、読売日響、都響など国内主要オーケストラに招かれ、故ゲルハルト・ボッセ、山田和樹など著名指揮者と、またウィーン室内管、プラハ響らと共演するなど、国内外で高い評価を得る。2017年4月より読売日本交響楽団のソロ・チェロ奏者に就任。

NHK大河ドラマ「龍馬伝」紀行演奏(第三部)を担当。エイベックス・クラシックスから同曲が収録された「Cello Melodies 龍馬伝紀行Ⅲ」や「ドヴォルザーク:チェロ協奏曲」をはじめ4枚のソロCDと、2019年12月に川久保賜紀(Vn)、三浦友理枝(Pf)と「ショスタコーヴィッチ:ピアノ三重奏曲第1番、第2番」「ピアノ三重奏 坂本龍一曲集」が同時発売され、トリオCDアルバムも3枚リリース。NHK-FMクラシック音楽番組「きらクラ!」(全国放送)のパーソナリティを8年間務めるなどテレビ、ラジオでも幅広く活躍している。

遠藤真理オフィシャル・ウェブサイト http://endomari.com/

田中泰(Yasushi Tanaka)

音楽ジャーナリスト、プロデューサー
1957年横須賀生まれ。1988年「ぴあ」入社以来一貫してクラシックジャンルを担当。2008年「スプートニク」を設立して独立。J-WAVE「モーニングクラシック」ナビゲーター、JAL「機内クラシック・チャンネル」構成、「アプリ版ぴあ」クラシックジャンル統括&連載エッセイなどを通じ、一般の人々へのクラシック音楽の普及に努めている。一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。

三枝:遠藤さんには2019年の秋、銀座と大阪のお店で音楽イベントをお願いしましたが、実はあの時の経験が、私にとっても会社にとっても非常に大きな意味を持ちました。遠藤さんの演奏を聴いていたお子さんたちの、前へ前へというくいつき様や目の輝きは、何千人も入るホールではなかなか見られないのではないかと感じました。その時の気づきもあって、この度SAYEGUSAは、子供たちの感性の翼を広げようということで、幼児期に気づきのある本物の体験を提供していく、気づきの場・感じる場を提供していく事業をスタートさせたのです。

今回お二人にお願いするプログラム「感じる音楽会」では、さらにバージョンアップして、心に残るひとときを一緒に作っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

まずは、お二人が、音楽の世界に入ってこられたきっかけ、子どもの時の体験などと重ねてお話をおきかせください。

 

遠藤さん(以下、敬称略):私の母はごく普通の家庭に育ったのですが、幼少期にバイオリンを習っていたこともあり、自分の子どもたちにも楽器を習わせたかったようで、私も物心ついた3歳の頃からレッスンを始めました。プロの音楽家を目指してというのではなく、チェロはあくまでお稽古事でしたが、それでも、「1日1時間は必ず練習しようね」という母との約束のもとやっていました。

学校から帰ったら、毎日必ず練習。何よりもチェロを弾くことが大好きな子どもでした。
ですから、しない日、病気などで練習が出来ない日には罪悪感を覚えるほどでした。やはり楽器を学ぶ上で大事なのは練習を積み重ねることですので、そういう風に育ってきたのは、とても良かったと思っています。

原体験といえば、父はサラリーマン、母は主婦というごく普通の家庭でしたので、年中コンサートに連れて行ってもらったという経験はないのですけれど、ある日学校に(授業の一環で)オーケストラが来てくれたんです。体育館で聞いた生の音や、どんな人が弾いていたか、というのをすごく覚えているんです。何の曲だったか分からないのですが、バイオリンやチェロ、コントラバスの配置だったりとか、光景がとても記憶に残っています。

 

三枝:それは、それは生の演奏を間近で聴いたからこそでしょうか?

 

遠藤:そうですね。自分が触れている楽器、触れたことのある楽器だとなおさらに身近に感じるということがあったと思いますし、間近で聴いたり肌で感じたりする経験が、私の心に残してくれたのは、本当に大きなものでした。

三枝:私たちは今、どのような場を創造したら、心の奥で感じていただける「本物の体験」をご提供できるのか、色々と試行錯誤しています。ご両親がご興味あること、お家の中でなさっていることにお子さんが影響を受けるということもあるでしょう。また、遠藤さんのように、学校の体育館で聞いたオーケストラが原体験となるということもありますが、我々も、幼児期の子どもたちに少しでもたくさんの気づき感じさせてあげたいと考えています。

先日、養老先生にナビゲーターをしていただいて、「教えない昆虫の学校」というプログラムを開催しました。タイトルの通り、そこでは何も教えません。子どもたちが養老先生と交流する中で、それぞれが何かを感じ、気づきを得てもらえればというコンセプトでした。ですから、昆虫好き集まれ!と言って募集したわけでもなく、実際、参加したお子さんの半分は「実は虫が苦手」でした(笑)。でもプログラムが終わる頃には、昆虫というものが少し身近になって「気持ちの悪いもの」ではなくなっていたようです。「虫たちもみんながんばって生きている」「よく観察してみたら、構造が面白かった」「蛾もきれいな模様をしているのね」など色々な感想をくれました。それは、昆虫とは何かを説明して勉強させたからではなく、80歳も半ばの養老先生が実に嬉しそうな楽しげなお顔をしてコレクションや顕微鏡を見ている。その光景が、子どもたちに昆虫の世界の面白さに対する気づきを与えてくれたのだと思います。

それと同じように、今度の「感じる音楽会」では、楽曲を知ることの前に、まず「音」そのものの美しさ、面白さに気づいてくれたらと思うのです。遠藤さんの奏でる音やエネルギーを感じて、音楽について楽しく語るお二人の様子を通じて、子どもたちがそれぞれの気づきを持ち帰ってもらいたいと考えています。
楽器を習っている子だけでなく、むしろ音楽にあまり触れていない子どもたちにも参加して欲しいと思います。音ってすごい、チェロってすごい、というシンプルな感動を味わって欲しいのです。それには、本物を体験してもらうことが肝心だと思うのです。

 

遠藤:「感じる」ことを入り口にして「好き」になって欲しいですね。今、世の中に音楽は溢れていますが、クラシック音楽を好きという方はまだまだ少数です。でも意外なところで生活で触れているクラシック音楽は沢山あります。

 

田中さん(以下、敬称略):そう。溢れてすぎていて、かえって何を選べば良いのか分からなくなっている親御さんも多いと思うのです。その時に大切なのが本物の体験です。本物を経験しないとそれ以下のものが見えない。美味しいものを知らないと不味いものがわからないのと一緒です。

我々がここに至るまでの過程、遠藤さんがプロの演奏者になり、僕がこんなに音楽が好きになって仕事にまでなったのかを考えると、その折々に衝撃的な出会いがあったからだと思うのです。そして、そういう出会いは、もしかしたら生演奏だけに限らないかもしれない。

僕が高校生だった頃のある日、先生が“パッヘルベルのカノン”を聞かせてくれました。
やんちゃな男子ばかりのクラスだったけれど皆とても感動して、帰り道にLPを買って帰った子が何人もいてね。そこで僕は、こういう音楽をちゃんと聴かせると感動する人間がたくさんいるんだということに気づいたわけです。

例えば、この部屋にあるような最高のオーディオ(※)を使って音を聴かせるということも、本物の体験といえると思うんです。(※会場となるガーデンハウスではLINNのオーディオシステムが体験出来ます)

 

遠藤:そうですね。とても良いと思います。いい音楽をいかにいい音で聴くかということも、非常に重要ですので。

三枝:お二人もそれを経験したからこそ、今があるわけですものね。

 

田中:僕、実は小学生の頃、音楽の成績は良くなかったんです。演奏能力も大した事ないということを早いうちに自覚していました。でも、高校時代の体験がきっかけで音楽がとても好きになって、やがて何か音楽に関わる仕事がしたいなと思うようになり、今の僕があるわけです。子どもたちにも、そういう出会いをして欲しいと思いますね。

一緒にピアノを習っていた女の子たちがたくさんいましたが、今、音楽好きかというとそうでもない。もうクラシックを聴いてもいないと言う(笑)。そういったレッスン自体が演奏技術の習得に重きを置きすぎて、「音楽が好きになる」ことをおろそかにしてしまっているからなのだと思います。

今度のプログラムでは、遠藤さんの素晴らしい演奏を楽しみながらも、普通のコンサートとは全く違う、クラシック音楽を聴く楽しさのきっかけを見つけてもらうような内容にしてあげたいですね。

 

遠藤:ところで、田中さんっていい声ですよね。もともとは歌をやっていらしたんですか?

 

三枝:私も、初めてお会いした時からそう思っていました。毎朝のラジオから聞こえてくる声が本当にすてきです。

 

田中:歌は一度もやったことがないです。先程、小学校の時、音楽の成績が悪かったって言ったでしょう?あれは、もともと声が低くて、音感が悪いわけでもないのに、みんなと一緒に歌えなかったからなんです。歌の時間は口パクでした(笑)。だから僕は、歌には縁がないんだと思っていました。でも、この仕事をするようになってある時、指揮者の小林研一郎さんから、「すごく特徴的な声を持っていますね。今からでもいいから歌手になりなさい」と言ってもらえた時は嬉しかったですね。もっと早く、そんなことを言ってくれる大人が周りにいたら、そういう世界も開けていたかもしれません(笑)。

 

遠藤:ほんとうに今からでも、遅くないかもしれませんよ!ジャーナリストとの二刀流でどうですか?

 

田中:いやいやもう無理。カラオケで十分です(笑)。でも、小林先生がそうおっしゃるくらい声楽と楽器は違う世界なのでしょう。けっこう大人になってから声楽を目指すことになった人も多くて、あのパヴァロッティも、19歳までは小学校の先生になる為の勉強をしていたそうですよ。余談ですけれど。

 

遠藤:そうなんですか!声楽は身体が楽器みたいなもの、年齢とともに成熟するものですものね。田中さん、楽器は何をなさっていたのですか?

 

田中:幼少期はピアノ、高校はブラスバンドでトランペット、大学時代はフルート、今は三味線です。

 

遠藤・三枝:すごいレパートリーですね!

 

田中:いろいろ経験したけれどものにはならず(笑)。でもいまの仕事の肥やしにちゃんとなっています。

音楽家にとって非常に重要なのは、毎日徹底的にやって、自分を100%の状態に積み上げられる力、継続力ですよね。僕はわりと器用で上達も早いのですけど、たとえば出来ないフレーズをできるようになるまで徹底的にやることが出来ない。ま、いいかとなってしまう。徹底的に取り組める力というのはすごい才能だと思います。

一方で、徹底的に「好き」になれるのも才能だと思うのです。僕はその「好き」仲間を増やしたくてこの仕事をやっています。「どうしたらクラシックを好きになれますか?」という質問をよくいただくのですが、「まずは聴いてみて、好きな一曲に出会うことですよ」と答えています。いいなと思う曲に出会えたら、その曲を何種類聴いていく。すると、演奏家によってまるで違うことがわかります。次に好きな演奏家が見つかって、そこからまた色々な曲を知ってみたくなるものです。僕自身、好きな一曲に出会ったことがきっかけとなってクラシックの虜になって、今があります。

遠藤:すごくわかります。そこが、はるか昔に生まれた曲をたくさんの音楽家たちが受け継いできた、クラシック音楽の魅力のひとつですね。

 

三枝:子どもの頃に学問として押し付けられると、なかなかその世界にエントリー出来ず、楽しさを知る前に脱落してしまう可能性もありますね。養老先生も仰っていましたが、自分から興味を持って向かっていかなかったら何事も身につかない。受け身だと苦手意識がどうしても出て来てしまう。興味のスイッチが入った状態での学びこそが、将来に活きるのでしょうね。

 

田中:「聴くこと」は本当に大事です。日本の音楽教育は、まず演奏から教えようとしてしまうので挫折してしまう。聴くことの面白さを教えてあげれば、音楽好きの子がもっと増えると思います。日本人の多くが、語学が苦手というのも文法から入るからなのではと思うんです。聴くことが出来れば、まずはYES・NOでコミュニケーションがとれますから。

 

三枝:「聴く」といえば、前回遠藤さんが弾いてくださった、文楽をモチーフにした曲はバチバチッという大きな音が出たりしてけっこう激しい曲だったけれど、子どもの反応がすごかったですね。

 

遠藤:あの曲が子どもにウケたのは意外でした。子どもには少し難しいかなと思っていたのですがすごく楽しそうに聞いてくれましたね。思わぬところで爆笑がおきていました。メロディが綺麗というのが良いかというと、それだけではないらいしい。

 

田中:思わぬところに興味を示してくれるのが子どもですね。

 

遠藤:弦を弾くバーン、バシバシッという音、キュイーンと弦を擦る音。しかも、同じスポットでみんなが一斉にわぁ!って笑う。「え?ここでなんで?」って(笑)すごく不思議でした。子どもの感性って未知なのだとつくづく思いましたね。

2019年店舗で行った音楽イベントの様子

三枝:すごく真顔で聴いているからちょっと心配していたら、「はぁ〜。面白かった!」って。
あのときは、遠藤さんのすぐ側で床に座って聴かせていただいたんですよね。耳だけではなく体全体で感じて「聴いた」。このような体験は、小さな子どもの時にしか出来ないコトですよね。

さて、お二人は、子育てを通じて何か感じられたことは何かありますか?

 

遠藤:自分の子どもを見ていると、結局、何をやらせようとしても、植え付けるというのが非常に難しくて…。
蕾が開くようなタイミングがあるのかもしれないけれど、親が思った様にやらせるのは本当に難しいです。

 

三枝:その難しさは、親子という間柄にあるアンチ精神が原因じゃないでしょうか。私自身の経験ですが、親が勧めた物事には反発するんです。逆に逆にいってしまう。昔は親以外にもアドバイスをくれたり相談できる大人が身近にいました。核家族化が進んでしまった今の家庭環境ではなかなか難しいと思います。だからこそ、我々のような、距離感を持ってモノコトを差し出せる存在も必要なのだと思うのです。

 

田中:なるほど、そういうものかもしれませんね。
ちなみに我が家では、起きている時間には音楽が流れ続けています。僕にはありませんが、子ども二人は絶対音感を持っていますね。もしかしたら、うちの愛犬(ラブラドール・レトリバー)にも音感があるかもしれない(笑)。生活環境の影響は大きいですね。

 

遠藤:起きている間ずっと!私は家ではあまり楽しむために音楽は聴いていなくて、私が音楽を聴くときは、勉強としてです。子どもが話しかけてきて「あ〜!聞き逃しちゃった。もう!しっ!」なんて叱ってしまうことも。だめですね〜(笑)。

 

田中:いやそれは、演奏者とぼくらのようなジャーナリストとは音楽との距離が違いますから。

三枝:日本と海外、たとえば遠藤さんが留学されていたザルツブルクなどは、生活における音楽との関わり方が全く違うと思うのですが?

 

遠藤:そうですね。街中を舞台に毎夏開催される「ザルツブルク音楽祭」があるのですが、みんな心待ちにしています。会場に入れなくても広場に大きなモニターが出て、無料ライブ配信で楽しんでいたりします。ビールを飲んだりおつまみを食べたり、それぞれ楽しみながら!ウィーン・フィルを始め、世界のトップオーケストラ、歌劇団、指揮者、ソリストが集い、朝から晩まで街中がお祭り騒ぎです。
ザルツブルクはモーツアルトの街として有名ですが、生活の中に音楽があるのが当たり前。音楽家の社会的地位も、楽器に対する関心も違います。私が持っているケースの中がチェロだとわかる人は、日本では10人に1人くらいですが、あちらだと、ほぼ100%です。日本ではチェロを弾く人を「チェリスト」と答えられる人も少ないのですよ。多くの方が「チェロリスト」って(笑)。

 

三枝:音楽に対しての身近さが全く違うのですね。日本にもGWに開催される「ラ・フォル・ジュルネ」という音楽祭がありますが、あの本場はフランスでしたね。あちらでは、野外も含め街中が音楽に溢れ、大人も子どももみんなが気軽に楽しんでいると聞きましたが、日本では、まだそこまでの環境がありませんね。

 

田中:そうですね。日本に西洋音楽が伝わった時、かしこまって聴くものとして入ってきてしまったのが原因だと思っています。本来は、キリスト教の教会音楽から始まり、王侯貴族の食事のBGMとして奏でられた室内楽や華やかな宮廷音楽、市民の娯楽として栄えたオペラなど、人々の生活の中に溶け込んだものでした。日本では、そういう歴史が切り離されて、コンサートホールでかしこまって聴く音楽となってしまったので、ワインを飲みながら聴くサロンコンサートすらもなかなか定着しないんです。

 

三枝:身近でカジュアルにクラシックを楽しむ場を、小さくてもいいから作ってあげたいですね。

 

田中:日本では小学生全員に音楽を教えますが、それは世界でも非常に珍しいようです。ウィーンですら、小学生が音楽を学びたい場合には、ウィーン少年合唱団のあるアウガルテン宮殿の学校に入るしかないそうです。肖像画をみて「ベートーベン」とほとんどの人が答えられるのは、日本くらいでしょう。そういう基礎的なものがあるにも関わらず、クラシック音楽を楽しむ人が非常に少ないのは残念なことです。

三枝:音楽は、本当は感じるものなのに、ただの知識で終わってしまっているからなのでしょうね。日本人って、どのジャンルでも同じことが言えると思うのです。「知っている」ということだけで満足してしまう。でも、本当に自分を豊かにするのは「感じる」ことなのに。

 

中:そうなのです。「感じる」「好きになる」ということがすごく大事なのです。子どもたちには、心に残る音楽体験をさせてあげたいですね。知識でなく。

 

遠藤:好きになってもらうのが第一歩。

 

田中:好きなことはいくらでも深く出来ますから。

 

三枝:そういうものがあるかないかで、人生の楽しさが違ってしまうと思うんです。好きなことに没頭することが出来る時間も、戻れる場所としての自然を持つことと同じくらい大切ですよね。そういう意味でも、今回の我々が提供するプログラムを体験して音楽家を目指すことになんてならなくていい、音楽を少しでも好きになってもらって、これからの人生、何かあった時に戻れる場所としての「音楽」を見つけてくれたらいいと思います。

 

田中:これからSAYEGUSAさんがされていくことは、子どもたちに色々な世界をたくさん見せてあげて「世の中にはこんなに面白いものがたくさんあるんだよ。で、君はどっちへ行くんだい?」ということを問いかけているのだと思いますね。

 

三枝:その通りです!

 

遠藤:私たちが見せてあげられるのは音楽の世界です。いわゆる一般的なサロンコンサートではなく、感じてもらう音楽会ですので楽しみにしていただきたいです。

 

三枝:演奏する遠藤さんの息吹、気迫、そしてチェロの音色や響きを全身で感じる体験、お二人の楽しいトークを私も心から楽しみにしています。よろしくお願いいたします。

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